埼玉県立大学理事長・慶應義塾大学名誉教授の田中滋氏が、ある講演で「変えられない未来と変えられる未来がある」と述べられたそうです。
日本では、少子化による急速な人口減少と、高齢者人口がピークに達する2040年はもうまもなくやってきます。3.5人に1人が65歳以上となります。日本中が労働力不足(人材不足)になります。
厚生労働省では、団塊の世代が75歳以上となる2025年(令和7年)以降は、国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれるため、2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもと、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム=住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される制度)の構築を推進しています。
向こう三軒両隣(むこうさんげんりょうどなり)とは、日常的に親しく交際する近隣の家のことを言い、これが隣組(となりぐみ)や町内を構成する最小単位の位置付けになります。
然しながら、最近では新たに転居してきた家ばかりか、以前は町内会に入っていた家でも、高齢化を理由に町内会へ入らないことが散見されるようになってきました。
このような状況下では厚労省の進める地域包括ケアシステムの構築は絵に描いた餅になってしまうのではないかと大変危惧してしまいます。
毎日の生活が向こう三軒両隣と仲良く生活できるような地域社会(隣組や町内)になることが、地域包括ケアシステムの構築には必要なことではないかと感じます。
令和5年9月1日 麻機園 園長 秋山 通