仕事柄最近目につく記事を2件紹介します。
東京商工リサーチの公表では、2024年1~4月の老人福祉・介護事業の倒産は51件で、同期間ではこれまでで最多となったとのことです。サービス別では訪問介護の22件が最も多く、次いで通所・短期入所介護の19件、有料老人ホームの5件となっています。
また、田中元(たなかはじめ)氏の記事では、1~5月で倒産件数「72件」という数字は、全国の事業所・施設の総数からすればわずかですが、この数字は、「氷山の一角」であるという見方が欠かせないとのことです。原因の一つには本年4月の報酬改定の影響が大きいことは容易に推察され、国が介護事業にどの程度の社会的価値を認めているかというバロメーターでもあり、この業界を目指そうという人材のモチベーションは上がらなく、事業者としても、「これ以上、地域ニーズに合った人材を集めることは不可能」という見切りをつけやすくなり、結果として事業を継続する展望を見失うことになります。
武見厚労相は6月11日の閣議後会見で、訪問介護の事業者の倒産について、「人材不足や職員の高齢化、事業の統廃合、利用者不足、経営不振など様々な理由がある」と指摘し、「厚労省としては、最も課題となっている人材の確保・定着に向けて処遇改善加算の取得促進に全力を尽くす。各種調査の結果なども踏まえ、必要な介護サービスを地域で安心して受けられる体制を作っていきたい」と述べたそうです。
人口が減少する一方で高齢者の比率が増え介護の必要性が高まるなか、介護保険制度の先行きが明るいものになるよう願ってやみません。
令和6年7月1日 麻機園園長 秋山 通